Feb 11, 2021
石司麻美のハーブ緑茶の世界 vol.11 和のハーブを活用した「和ハーブ緑茶」
「ハーブ」と言うと、どうしても西洋的なイメージを持たれる方が多いと思います。元々「ハーブ」という言葉の意味は、薬や香料とする有用植物のこと。日本でも、古来から様々な植物を薬や香料として利用してきました。「どくだみ」「くまざさ」「よもぎ」などは、日本古来の薬草であるというイメージをお持ちの方が多いと思います。
しかし、もっと身近な所にも和ハーブはあります。私たちが意識せず、当たり前に使用している和ハーブとして、「シソ(紫蘇)」、「ユズ(柚子)」、「サンショウ(山椒)」、「ショウガ(生姜)」などがあります。そして、そもそも「チャ(茶)」も、古くは薬として利用されていた歴史があるので、立派なハーブと言えます。
私が日本茶やハーブの講座や情報発信をしている中で、
「ハーブティーに興味はあるけれど、なかなか自分好みのものが見つからない。」
「普段のお茶を、もっと簡単にアレンジして楽しみたい。」
「近くのお店でハーブを購入できない。」
などのお声を聞くことがあります。そんなお悩みにこそ、「和のハーブ」が役に立つのです。最近では、和のハーブが注目され、講座や書籍も発売されています。
ちなみに、一般社団法人和ハーブ協会では、「和ハーブ」とは『日本原産かつ、江戸時代より前に自生していた有用植物』と定義しています。
あまりに身近過ぎて気付かれない存在の「和ハーブ」ですが、そもそも日本人は、古くから自然の力を上手に利用し、生活を豊かにしてきました。和食に使われる「だし」、保存がきいて体にとても良い味噌や醤油などの「発酵食品」、そして、四季折々の食材の旬の楽しみ方などなど。日本人は、「食」を、単にお腹を満たすためのものではなく、心を豊かにし、身体にやさしい文化として織り成してきたのです。
ここ数年、東洋医学や自然療法などが見直される中、私たちも日常の中で、日本に生まれたからこその恵みを今一度見直し、生活に取り入れてみると、新鮮な発見があるかもしれません。
「和ハーブ」を楽しむ手軽な方法のひとつが、普段飲んでいるお茶(緑茶がおすすめ)に加えてみる、というもの。お茶を飲む時に薬味である山椒をひと振りしたり、お茶を淹れる時に(お湯でも水でも)以下の和ハーブをお茶の葉と一緒に急須やポットに入れて抽出することです。
【急須やポットで和ハーブ緑茶を楽しむ場合の目安(1人分)】
・シソ=1枚をちぎって入れる
・柚子=生の柚子は皮を少し削る、乾燥の柚子はティースプーン1/2~1杯
・山椒=生や乾燥の実山椒は、3~5粒を軽くつぶして入れる
・生姜=生の生姜スライスを2~3枚、又は、乾燥生姜をティースプーン1/2杯
基本的に煎茶であれば、どの和ハーブも味わいと香りがなじみます。また、これらの和ハーブを加えた和ハーブ緑茶は食事にも合わせやすいので、リラックスタイムだけでなく、食事とのティーペアリングとしての楽しみ方もあります。
ハーブを楽しみたいけれど、なかなかその一歩が踏み出せない、と言う方は、日本人の私たちになじみのあるこれらの和ハーブからハーブの世界に足を踏み入れてはいかがでしょうか?