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Mar 15, 2021

Asakoの「日々是静岡茶」vol.3「Leaf Paradise」で触れる“合組の奥深さ”

単一農園、単一品種であるシングルオリジンの日本茶が浸透しつつある昨今。その突出した個性は分かりやすく、飲み比べるのも楽しいものです。

一方で、皆さんは合組(ブレンド)されたお茶にはどのようなイメージをお持ちですか?

私はこれまで恥ずかしながら、合組というと安定した完成度であることから「美味しいけれど特徴を言語化するのも記憶に残すのも難しいお茶」と感じていました。

ところが合組のプロ、ヤマカ勝山商店さんが営む日本茶カフェ「Leaf Paradise」に出会ってからというもの、その印象が様変わり!

今回は、同店で触れられる合組の魅力についてご紹介します。


Asakoの「日々是静岡茶」vol.3「Leaf Paradise」で触れる“合組の奥深さ” photo



常盤公園近く、喧騒から一歩離れた落ち着けるカフェ

静岡の中心市街地の中でも少し駅から外れた葵区駒形通1丁目に位置する同店は2019年にオープン。

店内は無骨でスタイリッシュなインテリアに地元のデザイン専門学校生によるお茶にまつわるアート作品なども展示される、アットホーム空間。

製茶問屋、ヤマカ勝山商店代表である勝山喜弘さんがなんとおひとりで切り盛りされ、近所の常連客から、遠路はるばるここを目指す静岡茶ファンまで様々なお客が訪れます。



老舗製茶問屋の社長自らが淹れてくれる贅沢を堪能

シンプルな煎茶からラテ系まで豊富なドリンクメニューはどれも自社で製茶したもので、磐田や島田、清水を中心に信頼を寄せる静岡の生産者から厳選して仕入れた荒茶を合組。

茶葉は定番のラインナップに加え週替わりの「今週のお茶」から選べ、勝山さん自ら一杯ずつ丁寧に急須で淹れて下さいます。


Asakoの「日々是静岡茶」vol.3「Leaf Paradise」で触れる“合組の奥深さ” photo

(オープンキッチンで淹れる様子を見ていられるのも嬉しいポイント)


「こんなに素晴らしい生産者さん達のお茶やそこに込められた思いを、もっと沢山の方に知ってもらいたくて。そのためにはこのお茶が生まれた茶園や生産者さんの顔を知る自分が店頭に立って伝えていきたいなと。ただ、本業の問屋業務がもちろんあるので、僕がカフェに常在していても会社が円滑に回るよう、実は6年前から準備をしていました。」


そう語る勝山さんらしく、煎茶メニューや販売用の茶葉にはどれも「誰がいつ作った何の品種を使っているのか」明記され、生産者への敬意を感じることができます。


Asakoの「日々是静岡茶」vol.3「Leaf Paradise」で触れる“合組の奥深さ” photo


例えばこちらのお茶は、牧の原のお茶の向笠園さんによる”やまかい”と、沼津の興国共同製茶組合さんによる”つゆひかり”という品種を合組したもの。


実は”やまかい”はその油分を含んだような独特過ぎるクセがあることから、問屋業界ではこれまで敬遠されがちだった品種だそうです。ところが、そういった変わり種の個性も受け入れ最大限活かしつつも、飲みやすく更に質を引き上げ伝えんとするのが勝山さん流!


Asakoの「日々是静岡茶」vol.3「Leaf Paradise」で触れる“合組の奥深さ” photo


五感から得られるのは

「鮮やかな緑色、まあるい香りと味が広がる中、芯の通った爽やかさが突き抜けていくような…?」という抽象的な印象だったのですが、合組の内容を知ることで、更に

「先行したまろやかさは”やまかい”で、スッと追い抜いていったのが”つゆひかり”だったんだ!」

というように一煎の中にお気に入りの品種が顔を出すのを見つける楽しみや、どんな特徴を活かしてどのように合組しているのかと思い巡らすこともできてしまいます。

これはシングルオリジンファンもときめくポイントではないでしょうか?


Asakoの「日々是静岡茶」vol.3「Leaf Paradise」で触れる“合組の奥深さ” photo

(一煎目と共に付いてくるタグを勝山さんへ渡すと二煎目を淹れてくださいます。一煎目と違う表情が楽しめるのは急須で淹れるお茶ならではの醍醐味です。)



フードメニューはお茶との相性も考えられつつも斬新

煎茶のオーダーだけでも二煎、そしてお茶請けまで付いて満足できてしまうのですが、同店の魅力はフードメニューにもあり。

季節ごとに変わるメニューは、どれも手作りでお茶と調和の取れた優しいおいしさが魅力です。

和に偏らない柔軟さに良心的な価格、程よいボリューム感で、日本茶ファンに限らず誰でも何度でも通いたくなるのもうなずけます。


Asakoの「日々是静岡茶」vol.3「Leaf Paradise」で触れる“合組の奥深さ” photo

(看板メニューの「茶らび餅」)


Asakoの「日々是静岡茶」vol.3「Leaf Paradise」で触れる“合組の奥深さ” photo

(量も甘さも程よい、優しいおしるこ)


Asakoの「日々是静岡茶」vol.3「Leaf Paradise」で触れる“合組の奥深さ” photo

(夏季限定のかき氷シリーズの中でも斬新な「ヴィシソワーズ氷」)


Asakoの「日々是静岡茶」vol.3「Leaf Paradise」で触れる“合組の奥深さ” photo

(小腹に嬉しいトーストまで!)


生産者が丹精込めて作ったお茶。その特徴や背景を知り尽くした茶師だからこその、合組で進化を遂げたお茶との相性をしっかり吟味されたフードメニューは、一見「お茶に合うの?」と構えてしまいそうなものこそ、試してみる価値があります。

前述した”やまかい”を使用したお茶などは、そのマヨネーズのような香味がヴィシソワーズ氷のジャガイモやトーストの具と相性抜群。その美味しさに驚きますよ!



茶師ならではの裏メニューも

さて、勝山さんの仕上げるお茶が飲みたくなって方に朗報!

同店ではなんと、裏メニューで「おまかせ」のお茶をいただく事も可能なのです。

「今日のお天気のようなお茶」だとか「私に合うお茶」なんていうちょっと不思議なオーダーも、その場でイメージして淹れてくださいます。

茶師ならではの即興アレンジは、今日もじわじわと日本茶ファンを増やしていること間違いなしです。



Leaf Paradise

静岡県静岡市葵区駒形通1-2-8 1F

TEL:054-251-7783

営業時間:11:00~18:30

※新型コロナウイルス感染拡大に伴い時短営業中 13:00~18:30

定休日:不定休(ホームページの営業カレンダー参照)

https://www.leaf-paradise2018.com/